2013年4月17日

シュガーとフリークたち

ルイス・ノーダン追悼特集に短篇「シュガーとフリークたち」を追加しました。
タイトルから連想されるように、障害をもつ人たちと成人したシュガーとの交流を描いた作品ですが、人間はみなフリークであり、お互いに肯定して生きていけるのだというテーマなので、あえてネガティブな背景をもつ用語もまじえて訳しました。たぶん南部作家のノーダンとしては、何もかもきれいごとで済ませようとするヤンキー知識人とは大いに相容れないものを感じていたのでしょうし、まだまだ若かったということでもあるのでしょう。生涯をつうじて彼をサポートした編集者シャノン・ラヴネルが初めてバディと出会った作品でもあり、こだわりをもっていた短篇です。文学的にいえばアレゴリーでしかない透明人間というくだりも、SFファンのぼくにはすごくよくわかるギークな感覚でした。
初出は〈ハーパーズ〉1982年6月号です。いまでも小説を掲載している数少ないカルチャー・マガジンです。
なんとか4月13日のご命日までに間に合わせようと思ったのですが、仕事の都合や家庭の事情、個人的な怪我などいろいろあって遅れてしまいました。残念です。あらためて、すてきな世界を見せつづけてくれたバディに感謝するとともに、ご冥福を祈りたいと思います。この特集に興味をもって読んでいただいている読者の方にも感謝します。
小川隆