2012年4月26日

訃報

忙しさにかまけていてたいへん悲しいニュースを見落としていました。 ジャンルの内外を問わず、ぼくがいちばん好きな作家の一人、たぶん五指に入るくらい好きで会いに行こうとしたけれど、そのときはもう病気だった南部作家のルイス・ノーダンが先週なくなったそうです。 ぜひ翻訳をしたいと思い、これまでもいろいろな編集者に話してみたのですが、南部の作家というだけで売れないと断られてきました。たしかにアメリカでもどれもせいぜい1万部を超えるぐらいの売れ行きなので、編集者がほれこんでいれば出せないことはないけれど、商売として出版されている作家ではありません。でも、病気でもう執筆が不可能といわれて10年、ずっと闘病生活のなかにいたときに、日本でも紹介してあげられたというお知らせができなかったのが悲しいし、悔しいです。 ご冥福をお祈りします。 小川隆

2012年4月8日

ディック記念賞

晩年のカルトとなった短い時期をのぞいて、生涯ペーパーバック作家として食べられない作家だったフィリップ・K・ディックを記念して、すぐれたペーパーバック書き下ろし作品に与えられるディック記念賞が発表されました。
THE SAMUIL PETROVITCH TRILOGY by Simon Morden (Orbit)
去年伊藤計劃に与えられた特別賞は今年ももうけられ、
THE COMPANY MAN by Robert Jackson Bennett (Orbit)
が受賞しました。
受賞作は日本が滅んだ世界の設定なので、もしかしたら翻訳は読めないのかもしれませんが、いかにもイギリスらしいディストピア小説という印象です。
それにしても、版元のOrbitはすごいですね。このところ新しい出版社の勢いが目立つだけに、老舗の発掘した新人が評価されるのはよいことだと思います。
小川