2014年8月30日

ノーダン特集

明日でノーダンの短篇は掲載期限が切れるので読めなくなりますが、ほかの記事は閲覧できるままなのでご安心ください。最近フォークソングをよく聴いているといいましたが、ミズーリ州の警官による黒人少年射殺事件をきっかけに公民権運動時代のフォークソングをよく耳にするようになりました。そんななかで当時は海賊版でしかきけなかったボブ・ディランのエメット・ティル事件を題材にしたを久しぶりに聴きました。当時の日本では〈朝日のあたる家〉と同じコード進行のそっくり曲として紹介されただけだったと思います。ルイス・ノーダンは同じ事件をWolf Whistleとして小説化するのに、白人でありながらロバート・ジョンスンを引き合いに出すことによって南部の誇りをも示しています。いまだにおぞましい差別意識が根強く残るアメリカですが、そこに正義感や倫理観だけをぶつけても解決にはならないことはこれまでの歴史が物語っています。さまざまな人間の気持ちを読み取り、かよいあわせることによってしか何も進んでいかないのだろうと思います。改めて、ノーダンへの思いがつのると同時に、ぼくたち翻訳者の担うものの大きさを感じています。(小川)

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