2010年12月10日

キンドルはたしかにありがたい物だけど

Amazonのキンドルを買って約一年が過ぎました。

一年くらい使ってみて、(現時点での)感想などを少し書きます。
使用頻度はそれほどでもないので、まだきれいです。
じつはあまり使いこなせていないのかもしれない。
それなのに新しいキンドルが発売になって、いいなあ、欲しいなあと思っています。
新しいキンドルはフォルダ整理ができるのが魅力ですね。
日本語表示もできるらしいし。
いま円高だし、チャンスなんですが……さすがに思い切れません。

自分のキンドルの使い方は、やはり紙を補完するような使い方になっています。

約一年間にキンドルで購入した本は、約10冊。われながら少ない。
紙の本とキンドル、おなじ条件なら紙の本を選んでいるからです。
つまり私はキンドルの消極的ユーザーということになるのでしょう。

キンドルで購入した10冊にかんして、なぜキンドルで買ったかというと、
「とにかくすぐに読みたかったから」--これに尽きます。
「すぐに読みたい」というときは、だいたい必要にせまられているから、
キンドルのありがたみはおおいに実感しています。
でも、ほんとうに気に入った本は、キンドルで読んだあとに紙の本も買って
しまうことが多いです。やっぱり本を手にしたくなって。
冷静に考えれば、本代二倍かかっているじゃん……(汗)。

もうひとつキンドルのありがたみをしみじみ感じるのは、
自分のファイルをAmazonにキンドル用にコンバートしてもらって保存し、
持ち歩けることですね。
そのおかげで、日頃持ち歩くバッグが小さく軽くなりました!
でも家では紙に印刷されたものを読みたくなります、やっぱり。

それに、これは当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが――
「自分は紙の本の手ざわりとか匂いが好きだったんだ」と確認できたのは、
キンドルのおかげですね。

2010年10月30日

ウサギどんキツネどん

岩波少年文庫の『ウサギどんキツネどん』(J.C.ハリス作、八波直則訳)を読みました。このお話は子供時代に読んだきりでしたが、最近急にまた読んでみたくなって探していたら、ちょうど今月復刊されて、うれしい限りです。私がかつて読んだのは岩波少年文庫版ではなかったのですが、この岩波少年文庫のほうは第一刷が1953年とのこと。

知恵の働くウサギどんと、そんなウサギどんを捕らえようとして失敗するキツネどんを中心とする動物たち(人間の友達もいます)のお話です。ウサギどんは、頭の良さで肉食動物に負けないのですが、別に善良なわけではなくて、罪のない者をひどいめにあわせたりと結構ひどいこともします。子供のころ読んだほかの本では、善良な者が勝って悪い者が負ける話のほうが多かったこともあり、当時この作品には特異な印象を受けました。今回、読み返してみたら、物語の聞き手である男の子も、やっぱりそういう展開に納得していないのです。そこを、語り手である黒人のリーマスじいやが世の不条理として説いてくれるところにうならされます。

原文はリーマスじいやのなまりが強くてちょっと読みにくいところがありますが、訳文は読みやすくなっています。

子供のときに読んだ作品を大人になって読み返すのは楽しいものですね。

2010年8月20日

レイ・ブラッドベリ

この22日で90歳の誕生日を迎えるレイ・ブラッドベリですが、地元LAではブラッドベリ・ウィークとして大イヴェントを展開中で、全米でもかなりな盛りあがり。ラジオでもひっぱりだこのようでいくつかはネット放送で聞くことができます。
なかでもおもしろかったのが、ファンが作ったというこの曲。“Fxxk Me Ray Bradbur"というタイトルも衝撃なのですが、いまどきの若い子のライフスタイルがうかがえるのも興味深い。デートに行こう、映画にする、食事にする? と男の子にいわれて、うちで本を読みましょう、レイ・ブラッドベリって知ってる? という女の子の話。中身もかなりきわどい。『何かが道をやってくる』の「何か」って、不気味なものではなく、Hなものだったのですね。
ユーチューブではワールドカップねたのこれも笑いました。
こうした映像を見ていると、iPadなどを利用したvookとかexpanded editionとか呼ばれるハイパーテクスト小説が出てくるのもよくわかります。
ともかく、おめでとう、ブラッドベリさん。

2010年5月16日

ネビュラ賞

今年のネビュラ賞が発表されました。結果は次の通り。
長篇
The Windup Girl – Paolo Bacigalupi (Night Shade Books, Sept. 2009)

ノヴェラ
The Women of Nell Gwynne’s – Kage Baker (Subterranean Press, June 2009)

ノヴェレット
“Sinner, Baker, Fabulist, Priest; Red Mask, Black Mask, Gentleman, Beast,”
Eugie Foster (Interzone, Feb. 2009)

短篇
“Spar,” Kij Johnson (Clarkesworld, Oct. 2009)

レイ・ブラッドベリ賞
District 9, Neill Blomkamp and Terri Tatchell (Tri-Star, Aug. 2009)

アンドレ・ノートン賞
The Girl Who Circumnavigated Fairyland in a Ship of Her Own Making,
Catherynne M. Valente (Catherynne M. Valente, June 2009)

バチガルピの受賞は予想通り、ベイカーは追悼のニュアンスが強かったのでしょう。『第9地区』も前評判通り。おもしろいのは、ウェブ作品がノヴェラ、短篇、ノートン賞とほぼ半分を占めているところ。ヴァレンテは訳したい作家で、スプロール・フィクション特集でとりあげようと思っていた人です。でも、こうしてみると、インターネットで共時性が高まったとはいえ、まだまだリアルタイムで翻訳が紹介される時代にはなっていないことがわかります。ぼくたちががんばらないと。

2010年5月8日

Kindle 2.5

キンドルの新しいヴァージョンが月末に発表されるそうです。新しいところは以下のとおり。
1 フォルダーが作れる
キンドルに入っている蔵書をコレクションとして名前をつけて別フォルダに整理できます。これはいままでほしかった機能。便利そうです。
2 隠せる
人に見られたくない本を隠せます。キンドル自体にパスワード設定をして鍵をかけてしまうこともできます。これで、これまで本を貸し借りするように電子ブックを貸し借りできないといった不満を解消するということでしょうか。キンドルを安心して友人に貸せるということですね。本来の目的は、紛失したときに他人が勝手にアカウントを解除して作り替え、自分のものにしてしまうのを防ぐためとか。本好きってそんなにいるかな。うーん、使う機能かどうかわからない。
3 フェースブックとツイッターが使える
ちょっとしたおもしろいフレーズが見つかったとき、友人に紹介したくなりますよね。今回はそれができるというもの。これは使いそう。もちろん、ちゃちなキーボードでがまんすれば書き込みもできます。
4 フォントがさらに増える
これまでできなかったpdfファイルのフォントサイズを変えられるようになります。また、キンドル・ファイルのフォントサイズもさらに大きなものが入るようです。これは便利。これまではpdfやテキストファイルを取り込んで使っていたのですが、テキストではどうしても文字化けが起きます。pdfの使い勝手がよくなるならこれはよさそう。これも、ずっと不満だった点です。
iPad攻勢にやや劣勢のキンドルですが、小説を何十冊も読む読書家にはキンドルのほうが便利、という特徴をアピールするために、いろいろがんばっているようです。
詳しくは
http://arstechnica.com/gadgets/news/2010/05/hands-on-kindle-25-firmware-a-cornucopia-of-features.ars

2010年4月20日

ともかく本が好き


ハードカヴァーって最高!



















ペーパーバックもいけるね。





















これもご機嫌だな。

















これが電子ブックってやつか。














ともかく飼い主同様、ぼくも本が好き。


















というわけで、ことごとく犬に愛情あふれる痕をつけられて困っています。でも、どうしてキンドルが本だってわかったんだろう?






2010年4月3日

ディック記念賞

ペーパーバック書き下ろしSFにたいして送られるディック記念賞の今年の受賞作が決まりました。
BITTER ANGELS by C. L. Anderson (Spectra)
たぶん審査が割れたのでしょう、特に優秀作としてマクドナルドの作品もあげられています。
CYBERABAD DAYS by Ian McDonald (Pyr)
蛇足ながら、ペーパーバックのほうが電子ブックより安いのですね。

2010年4月2日

アマゾンKindle Penguinと決裂

電子書籍をめぐって何かとお騒がせなアマゾンだが、とうとうアメリカ大手出版社ペンギン・グループとは合意に至らなかった。このため、今年4月1日以後、アメリカ・ペンギン・グループ(Ace/Berkley/Dutton/Firebird/Jove/NAL/Prentice Hall/Penguin/Putnam/Razorbill/Riverhead/Plume/Tarcher/Vikingなど)の新刊がKindleエディションで出版されることはないという。既刊タイトルは扱うとのこと。アップルの参入で、出版社は強気の姿勢を崩さなくなった。ランダム・ハウス・グループは現在多くの出版社が提案しているエージェンシー・モデルについても、書店側の利益が多すぎる(定価の30%)という理由で、アップルのiBookとすら合意していない。この問題は今後の出版文化を左右するものだけに、どこも譲歩しない強硬姿勢が目立つ。しばらくこのブログで、いま問題になっている電子ブックのあり方をめぐる論議をご紹介しながら、ぼくなりの考えも述べていきたい。
ちなみに、電子書籍書店koboでは150ドルという廉価版電子ブック・リーダーを発売予定だそうだ。

2010年3月3日

訃報バリー・ハナ

ゴンゾ南部作家のバリー・ハナが亡くなったそうです。この数年悪性のリンパ腫で長くないといわれていたようですが、まだ67歳。悲しいです。ラリー・ブラウンといい、すばらしい南部のユニークな作家は長生きできないのでしょうか。

2010年2月20日

ネビュラ賞

ネビュラ賞の候補が発表されました。
Short Story

•“Hooves and the Hovel of Abdel Jameela,” Saladin Ahmed (Clockwork Phoenix 2, Norilana Press, Jul09)
•“I Remember the Future,” Michael A. Burstein (I Remember the Future, Apex Press, Nov08)
•“Non-Zero Probabilities,” N. K. Jemisin (Clarkesworld, Nov09)
•“Spar,” Kij Johnson (Clarkesworld, Oct09)
•“Going Deep,” James Patrick Kelly (Asimov’s Science Fiction, Jun09)
•“Bridesicle,” Will McIntosh (Asimov’s Science Fiction, Jan09)
Novelette

•“The Gambler,” Paolo Bacigalupi (Fast Forward 2, Pyr Books, Oct08)
•“Vinegar Peace, or the Wrong-Way Used-Adult Orphanage,” Michael Bishop (Asimov’s Science Fiction, Jul08)
•“I Needs Must Part, The Policeman Said,” Richard Bowes (The Magazine of Fantasy and Science Fiction, Dec09)
•“Sinner, Baker, Fabulist, Priest; Red Mask, Black Mask, Gentleman, Beast,” Eugie Foster (Interzone, Feb09)
•“Divining Light,” Ted Kosmatka (Asimov’s Science Fiction, Aug08)
•“A Memory of Wind,” Rachel Swirsky (Tor.com, Nov09)
Novella

•The Women of Nell Gwynne’s, Kage Baker (Subterranean Press, Jun09)
•“Arkfall,” Carolyn Ives Gilman (The Magazine of Fantasy and Science Fiction, Sep09)
•“Act One,” Nancy Kress (Asimov’s Science Fiction, Mar09)
•Shambling Towards Hiroshima, James Morrow (Tachyon, Feb09)
•“Sublimation Angels,” Jason Sanford (Interzone, Oct09)
•The God Engines, John Scalzi ( Subterranean Press, Dec09)
Novel

•The Windup Girl, Paolo Bacigalupi (Nightshade, Sep09)
•The Love We Share Without Knowing, Christopher Barzak (Bantam, Nov08)
•Flesh and Fire, Laura Anne Gilman (Pocket, Oct09)
•The City & The City, China Miéville (Del Rey, May09)
•Boneshaker, Cherie Priest (Tor, Sep09)
•Finch, Jeff VanderMeer (Underland Press, Oct09)
Bradbury Award

•Star Trek, JJ Abrams (Paramount, May09)
•District 9, Neill Blomkamp and Terri Tatchell (Tri-Star, Aug09)
•Avatar, James Cameron (Fox, Dec 09)
•Moon, Duncan Jones and Nathan Parker (Sony, Jun09)
•Up, Bob Peterson and Pete Docter (Disney/Pixar, May09)
•Coraline, Henry Selick (Laika/Focus Feb09)
Andre Norton Award for Young Adult Science Fiction and Fantasy

•Hotel Under the Sand, Kage Baker (Tachyon, Jul09)
•Ice, Sarah Beth Durst (Simon and Schuster, Oct09)
•Ash, Malinda Lo (Little, Brown and Company, Sep09)
•Eyes Like Stars, Lisa Mantchev (Feiwel and Friends, Jul09)
•Zoe’s Tale, John Scalzi (Tor Aug08)
•When You Reach Me, Rebecca Stead (Wendy Lamb Books, 2009)
•The Girl Who Circumnavigated Fairyland In A Ship Of Her Own Making, Catherynne M. Valente (Catherynne M. Valente, Jun09)
•Leviathan, Scott Westerfeld (Simon, Oct09)
それにしても本格SFの少ないこと。世代もようやく若返った感じですね。ノートン賞のヴァレンテの作品は自分のウェブサイトで発表して、カンパをつのっているもの。究極の自費出版というか、出版の未来形というか、SFWAも過去の遺産より未来を考え出しているってことかな。たぶんヒューゴーの候補とはがらっと違ってしまうんでしょうね。

2010年2月5日

エドゥアルド・カタラーノ

前にSFマガジンで訳したリチャード・バトナー「未来の家」のモデルだった建築家のカタラーノが先週逝去されたそうです。訃報ばかり続きますが、残念です。

2010年1月29日

J. D. サリンジャー

サリンジャーが亡くなったそうです。新作を期待していたわけではないけれど、残念です。

2010年1月17日

ディック記念賞

SFのペーパーバック書き下ろし作品に与えられるディック記念賞の候補が発表されました。
BITTER ANGELS by C. L. Anderson (Ballantine Books/Spectra)
THE PRISONER by Carlos J. Cortes (Ballantine Books/Spectra)
THE REPOSSESSION MAMBO by Eric Garcia (Harper)

THE DEVIL’S ALPHABET by Daryl Gregory (Del Rey)
CYBERABAD DAYS by Ian McDonald (Pyr)
CENTURIES AGO AND VERY FAST by Rebecca Ore (Aqueduct Press)
PROPHETS by S. Andrew Swann (DAW Books)